自閉症の人に特化したグループホームを見学しました。
日時:平成29年7月5日(水)11時過ぎ~14時
会場:岡山県赤磐市和田 グループホーム ほっぷ1
参加者:14名
入居している6人は、一般就労3人、A型事業所1人、B型事業所1人、生活介護事業所1人だそうです。ここは終の棲家ではなく、4年後一人暮らしを目指しているそうです。そのため、一人一人に合わせた構造化や視覚支援により身辺自立する工夫がされていました。食堂を平日の昼間にカフェとして運営し、地域住民と自閉症関係者の交流の場になっているそうです。
「グループホームほっぷ1を見学して」
参加者より
わたくしはかねてよりNPO法人岡山県自閉症児を育てる会の活動に注目していました。自閉症児及びその親に対していろいろな支援事業をしていらっしゃるとともに、特にグループホームを立ち上げ、自閉症児の自立をサポートしていらっしゃる。是非、見学したい、でも一人では無理だと思っていたところ、自閉症協会から見学のお誘いがあり、渡りに船ということで参加させていただきました。
当日は、梅雨末期にもかかわらず、まずまずの天候で、グループホーム併設のカフェで昼食の日替わりヘルシーメニューをいただきながら、代表の鳥羽美千子さんから説明を受けました。
育てる会は、大人になった子供たちのために働く場、暮らす場を提供し、地域で普通に働き、普通に暮らせる人生を目標にしていること、行政は公平性を大切にする一方、親はわが子のことだけが心配なので、公平性ということで待っていたら、いつ自分の子供の番がくるかわからない、それなら親が作るしかない、その際、横浜にある自閉症に特化したグループホームが参考になったと話されたのが印象に残っております。
見学後、わたくしたちがこのグループホームから学ぶべき点は次の四点ではないかと思いました。
第一は、世話をする方が一名、常時いらっしゃることです。代表のお話では、人の役に立つ仕事がしたいと前職を投げうって、こちらにいらっしゃったとのことです。行き届いた世話をするためには、朝晩、食事の時だけでなく、子供たちのいないときも準備しておかなければいけないのではないでしょうか。
第二は、グループホームで生活している子供を地域に溶け込ませ、グループホームを地域の資源にするためにカフェが非常に重要な役割を果たしているということです。当日は、カフェに自閉症の方がパソコンで描いた絵画が展示してあり、わたくしたちの目を引きました。
第三は、このグループホームを終の棲家とする考えはとっていらっしゃらないということです。A、B、Cと段階を踏んで関与の度合いを減らし、最終的には一人で暮らすことを目標にしているということです。親といっしょでいいかというわたくしの安易な考えを是正する契機となりました。
第四は、食事後のグループホーム見学から、各部屋、共同スペースともきちんと掃除が行き届いており、子供たちのしつけがなされていることです。身の回りの清掃ができて初めて自立が可能になります。
また、わたくしたちが、同様のグループホームを立ち上げるとしたら、解決すべき課題も見えてきました。見学の最後に、子供たちの職場はどこにあり、どうやって通っているのか質問したところ、このグループホームは交通の便のよいところに立地している、通勤の訓練を行ったうえで、岡山市内の企業、作業所へ長い子供では乗り換えて1時間30分くらいかけて通勤しているとのことでした。グループホームという生活の場だけあっても自立はできません。安定した職場があり、一人で通勤できて初めて自立ができるということです。このことから、親として安定した子供の職場の確保に精力を注がねばと感じました。
以上が、グループホームを見学した感想です。このほかにも、育てる会は、療育機関を持っていらっしゃり、ペアレントメンター研修を修了した3名が交替で電話相談にも対応していらっしゃるとのことでNPO法人立ち上げのご苦労を推測するに頭の下がる思いがしました。
当日は、鳥取から見学に来るというのでRSKテレビの取材も入っており、このグループホームの存在の大きさを実感した一日でした。